第七話

一昨日やった日本史のテストが返ってきた。
まずまずの結果にホッと胸をなで下ろす。せっかく直江に手伝ってもらって散々な点数では申し訳ねぇからな。さっきプリント返す時チラって顔見たら、直江もちょっと嬉しそうな顔してた。

そして休み時間。

譲には誉められ、千秋には「頭でも打ったか?大丈夫か?」としきりに心配された。ちょっとは見直せや。

「ね、やればできるんですよ」

直江に爽やかな笑顔付きで言われたのも思い出し、意気揚々と自販機に向かう。暑くなってきたので黒のセーターの袖をまくりながら外に出た所で、女子生徒達に呼び止められた。

「あの、あの…仰木君!ちょっといい?」
「?」

話したことはないが隣のクラスの女子だ。その女子達は意を決したように自販機の前で口を開いた。

「直江先生のことなんだけど」

出てきた名前に驚く。直江?
…なんだ?家行ってんの見られた?

「あの、直江先生と仲良いみたいだけど…なんで?」

こ、これは尋問か?

「別に、特別仲良いわけじゃねーぞ」
「仲良いよ!普通の人と仰木君じゃ全然接し方違うもん」

そんなに観察されてんのかあいつ。妙に教師がいい男だと大変だな。

「そんなことは、ねーけど…」
「別に 怒ってるとか嫉妬してるわけじゃないの。ただどうやって仲良しになったのかなって」
「ていうか先生って彼女いる?」
「好きな人とかはいないの?」

女子達に真剣な顔で質問攻めされる。

「悪いけど俺そこまで仲良くねーから、そんな話はしたことないんだ」

疑わしそうな目で見られても知らんもんは知らん。本当に直江との間にそんな話題がのぼったことはない。

でも多分本当に彼女とかはいないはずだ。だって俺結構な間隔で直江んとこ行ってるから。
あれだけ行ってたら隠しててもさすがに分かるだろ。

それから俺はチャイムが鳴るぎりぎりまで鬼のように質問された。

直江の好きなタイプなんざ知るかっつーのと思いつつ適当に「歯がすげー白い女」と言ったら、女子達は「はぁ!?」って言っていた。
「歯」と「は?」を掛けたのかは知らないが。
まぁ別に間違ってはいないだろう。歯が白い奴が嫌いな人間はいないし。
これから毎朝、あいつらはもの凄く歯を磨いて来のかと思うとちょっと笑えた。
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